日本株式市場 22年度4Q決算は予想を上回る決算
対象企業34%が決算発表終了
素晴らしいお知らせです!調査対象企業の34%が決算発表を終了し、その結果、加重調整後の純利益は平均で3.5%と、コンセンサス予想を上回っていることが明らかになりました。驚くことに、現時点での達成幅は、純利益が+7ppt、売上高が+10pptにも上りました。この好調な決算は、国内および輸出関連セクターの強さに支えられています。なんと、23年度のTOPⅨ目標値に向けた進捗にも大きく貢献しているのです!
特筆すべきは、4Q決算が好調なスタートを切ったことです。22年度のTOPⅨ構成企業の利益予想は、年初以降6ppt引き下げられましたが、日本企業の利益は想定よりも上回る軌道に乗っています。加重調整後の売上高は3.5%、営業利益は3.9%、純利益は2.3%、それぞれコンセンサス予想を上回っており、市場の期待を上回る結果となっています。
このような素晴らしい決算発表に対して、市場からもポジティブな反応がありました。純利益が予想を下回った企業の平均リターンは-0.5%に対し、上回った企業は同+2.7%という結果になっています。これまでの決算発表は、株主重視の資本管理策が採られているほか、M&Aの兆しが伺えるなど、今後の展開にも期待が高まります。この好調な決算発表は、株主の皆様にとっても大変喜ばしいニュースであることは間違いありません。
注目セクター
日本の株式市場では、多くのセクターと銘柄がコンセンサス予想を大幅に上回っており、その中でも特に、食品/家庭用品、家電、運輸(中でも鉄道)、公益事業、資本財のセクターが注目を集めています。個別銘柄に関しては、東海旅客鉄道(9022)と西日本旅客鉄道(9021)の決算が際立っており、マキタ(6586)は営業利益が予想を上回り、自社株買いの発表やガイダンスの引き上げによって評価されています。
弱いセクター
一方で、電子部品、医療機器、自動車部品、医薬品、小売のセクターは予想を下回っており、特に自動車部品の株価反応や電子部品に対する反応の薄さを考慮すると、バイサイドの期待が低いことが分かります。
日本株に関する見解では、先進国市場では日本株が選好されていると考えられています。TOPIXは、2020年に設定した2023年末の基本ケース目標値を3%上回って取引されています。しかし、米国経済がハードランディングとなり、ドル/円レートがストラテジストが見込む127円を上回る場合には、強気ケース目標値の2350までさらに13%のアップサイドが期待できると考えられています。全体的に、日本のマクロ経済と日本企業の利益見通しは良好であり、賃金上昇、(23年7月の)YCC終了、株主還元の強化によって「トリカレウイン」となる可能性があります
東証 資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応について
- 上場会社の皆様に、資本コストや株価を意識した経営を実践していただく観点から、まずは自社の資本コストや資本収益性を的確に把握し、その内容や市場評価に関して、取締役会で現状を分析・評価したうえで、改善に向けた計画を策定・開示し、その後も投資者との対話の中で取組みをアップデートしていく、といった一連の対応を継続的に実施していただくことをお願いするものです。(対象はプライム市場・スタンダード市場の全上場会社です。)
- 実施にあたっては、取締役会が定める経営の基本方針に基づき、経営層が主体となり、資本コストや資本収益性を十分に意識したうえで、持続的な成長の実現に向けた知財・無形資産創出につながる研究開発投資・人的資本への投資や設備投資、事業ポートフォリオの見直し等の取組みを推進することで、経営資源の適切な配分を実現していくことが期待されます。
- なお、資本収益性の向上に向け、バランスシートが効果的に価値創造に寄与する内容となっているかを分析した結果、自社株買いや増配が有効な手段と考えられる場合もありますが、自社株買いや増配のみの対応や、一過性の対応を期待するものではなく、継続して資本コストを上回る資本収益性を達成し、持続的な成長を果たすための抜本的な取組みを期待するものです。
参考リンク:資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応等に関するお願いについて | 日本取引所グループ (jpx.co.jp)